FitzNOTEについて





一 ごく最近、FitzNOTEというシェアウェアソフトを入手して試用したところ、まさに「痒いところに手が届く」ソフトであり、早速1600円送金してしまいました。1600円は少額とはいえないものの、FitzNOTEは、送金するについて迷いを感じさせない、素晴らしいソフトです。よって、ここで紹介してみたいと思います。


二 FitzNOTEとは何か

 1 基本的にはアウトラインプロセッサです。
 アウトラインプロセッサの機能については、前に「一太郎のアウトライン機能を使う」でその概略を説明しました。

 法律家がアウトラインプロセッサを使って長文(準備書面や判決、論告等)を作る場合、まず、書くべき項目を書き出します。これは、多くの場合既に決まっているので、特に苦労することはないでしょうが、項目は、後から追加することも削除することも楽なので、思いついたまま書き出します。
 具体的には、刑事事件の判決を起案するときには、「主文」「罪となるべき事実」「証拠の標目」「事実認定の補足説明」「法令の適用」「量刑の理由」等が常に必要な大項目になるでしょう。次いで、「事実認定の補足説明」については、「被告人の主張」「証拠上明らかに認められる事実」「自白の任意性」「自白の信用性」等の小項目が考えられます。更に、個々の小項目についても、いくつかのブロック(少々項目)に分けられますし、少々項目も更に小々々項目・・・と細分化できます。イメージ的には、樹形図のようなものになるでしょう。
 アウトラインプロセッサは、項目の順序を並べ替えたり、大項目を小項目に移動したり、ということも楽なので、この段階では特に気を使う必要はありません。

 次いで、個々の項目について具体的な記述を始めていきます。書きやすいところから順次書いていけばいいでしょう。

 全ての項目が埋まったら、再び全体の項目を見渡して、論述の流れを検討します。項目の移動は容易なので、何度でも試行錯誤することができます。
 こうして全体ができたら、テキスト文書に全項目を出力して、それをワープロソフトで整形し、文章が完成します。

 何ともまだるっこしい説明になってしまいましたが、実際にFitzNOTEを入手して試用してみれば、使い方は簡単に理解できると思います。
 こうしたアウトライン機能は一太郎やワードにもあるので、それを使っている方も多いと思います。アウトラインプロセッサは、基本的には、ワープロのアウトライン機能だけを取り出したものということができます(本来的には、アウトラインプロセッサの機能をワープロが取り入れた、というべきところでしょうが。)。秀丸のマクロにも、アウトラインプロセッサに近い使い方ができるものがあります。これらとアウトラインプロセッサとの違いは、機能が特化した分、動作が速く、軽快で、かつ、項目の表示や入れ替えが容易である、というところでしょうか。
 アウトラインプロセッサは市販ソフトの中にもあるようですし、シェアウェアソフトの中では「アイディア・ツリー」という有名なソフトがあります。アイディアツリーは、雑誌のCDなどで付いていることがあるので見かけた方も多いでしょうし、パソコン活用本でも相当広く取り上げられています。非常によくできたソフトで、私も時たま思い出したように使ってみたりしましたが、2000円の登録料を送金しようとは決心できないまま、長文を作成するときには一太郎のアウトライン機能を使ってきました。やはり、アウトラインプロセッサ「だけ」で2000円というのが割高感につながっていたように思います(本来的に言えば、2000円送金するだけの価値は十分以上にあるソフトですが)。FitzNOTEもアウトラインプロセッサの仲間なので、これを送金登録すればアイディアツリーは不要になります。


 2 FitzNOTEは、法律家が使うデータベースソフトとして、必要十分な機能を持っています。

 私が、アイディアツリーの2000円の送金が結局決断できなかったのに、FitzNOTEの1600円はすぐに送金してしまったのは、単に400円の違いのためではありません。FitzNOTEは、単なるアウトラインプロセッサに止まらずに、データベースソフトとして利用が可能だから、というのが、一番でした。
 データベースソフトとしては、言うまでもなく有名な「アクセス」があります。私もハウツー本を買ってきて勉強したものです。しかし、アクセスの勉強をしたことがある人なら分かると思いますが、アクセスほどの本格的なデータベースソフトを使いこなすのは非常に大変です。他方、法律家がデータベースソフトを使う、というのは、情報管理のためであり、「自分の必要としている情報がどこにあるか」さえ分かれば十分です。データを集計したり、自動計算したり、一定の情報を抽出・並べ替えしたり、というのは、基本的には不要のはずです(少なくとも私の場合)。その意味で、アクセスは大げさすぎます。
 こういった観点から、私は、文書を基本的にテキスト文書で作成・保存し、GREPで検索する、という方法でデータベースとしては十分であると考え、前に「GREPによるテキストデータベース構築」を発表しました。
 これは、基本的には正しい方向だったと自分でも思うのですが、他面、エクセルのファイルなどバイナリ・ファイルの管理ができない、GREP検索の結果が多いと目的となるデータを探すのに時間がかかる、検索語が適切でないとデータが引っかからない、などの問題点がありました。データは一元的に管理できるものなら、その方がいいことは間違いありません。しかし、そのための適切なソフトが見つかりませんでした。
 そんな状態でFitzNOTEに出会い、「私が探していたソフトはこれだ」と思いました。

 FitzNOTEのどこが優れものかというと、リンク機能が非常に充実している、ということです。
 FitzNOTEでは、まず、現在の項目の本文の中やリンク・パネルの中に、別の項目へのリンクを張ることができます。したがって、関連する項目については、リンクを張ることにより一覧できる形を取ることができます。
 そればかりでなく、FitzNOTEのファイル外にも自由にリンクを張ることができます。これは、実際に使ってみると「こんなに便利なのか!」というほど便利な機能です。例えば、ハードディスクの中に保存した全く別のファイル(テキスト文書だろうが、一太郎文書だろうが、エクセル文書だろうが)にリンクを張れるので、FitzNOTEで当該文書の「要旨」なり「見出し」なりを入力してリンクを張っておくと、ファイルを一元的に管理し、FitzNOTEのリンクによって当該文書を起動することができます。こうしてファイルを管理しておくと、ツリー形式で項目を管理しているので該当するファイルにリンクを張っている項目を探すのも容易ですし、「検索」機能で項目を絞り込んでから発見することも容易です。私にとっては、データベースとして必要充分な機能であると感じました。
 リンクはインターネットのアドレスを指定する形で張ることも可能なので、インターネット・アドレスの整理にも使えます(これは、HTML文書でリンク集を作る、という形で対応可能なので、FitzNOTEの重要な機能とまではいえませんが・・・)。


 3 FitzNOTEは、作者が指摘する3つの特徴としては、上に挙げたアウトラインプロセッサ、情報データベースの他、ToDo管理ソフトとしての機能もある、としています。
 これはSchedule+などのスケジュール管理ソフトのToDo機能とほぼ同じで、確かに使えそうな気にさせられますが、Schedule+などを使い込まれている方なら敢えて乗り換えるほどの魅力はないでしょうし、Schedule+を使おうとしたものの「やはりスケジュール管理は期日簿で」という私のような人間には余り使い道のない機能です。
 まあ、おまけ程度の感覚でいいのではないでしょうか?


三 FitzNOTEは、実際に使いはじめてみると、これなしには仕事ができないという感じにさせられる、優れもののソフトです。
 難点を挙げるとすれば、起動がワンテンポ遅い、ということでしょうか。もちろん、一太郎やワードほどはひどくありません。しかし、オンライン・ソフトは、やはり商用ソフトとは異なり、キビキビした動きをしてくれないとなぁ、と思います。
 しかし、起動の遅さを考えても十分に使えるソフトであると私は考えているので、ぜひ、『あしまのソフトウェアファクトリー』でダウンロードして、試用してみてください。





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