アリアドネ「調査のためのインターネット」(ちくま新書)は、インターネットにおける情報検索のための方法論を徹底して紹介してくれている非常に優れた本で、これをみると、「英語が使える限り」インターネットというのは実に情報検索にとって有効であると実感できます。
この中には、「データの山に登れ」として、「法学」についても説明がありますが、「法律分野では、ごく早い時期から専門のデータベースが発達してきました。この伝統はインターネットにも引き継がれており、さまざまな法律のデータベースが存在しています。大学や個人ではなく、企業によって運営されているサイトが多いのが、この分野の特徴です。」として、実際、充実した「リソース・リスト」「法律検索リソース」等が紹介されています。
本当に、英語が使えて、英米法を専門とする限りは実に有効なサイトがあるようです(残念ながら、私は英語が苦手なので、「私にとっては」有効ではありません。)。
二 日本の法律関係サイト
1 ひるがえって日本のサイトをみるに、まだまだ有効なデータベースとして使えるものは少ないと思います。以下では、個別的に検討してみたいと思います。
2 法務省のホームページ
日本でも省庁によってはホームページを立ち上げているところもあるようですが、法務省のホームページがないように思います(私が見つけられていないだけかも知れません。)。
しかし、法務省でも、改正法案等についてはパソコン(又はワープロ)で作っているはずですから、それをそのまま(又はできればHTML文書にして)公開してもらいたいものです。各種の統計についても同様です。
もちろん、過去の法律条文について遡って公開してくれればいうことはないのですが(デジタルデータ化はしてあると思うのですが。)、そうでなくても、これから改廃される法令に関してだけでもデータベース化していくなら、それは非常に有効なデータベースとなるのではないかと思います。
現在、個人の有志の方が法令をテキストデータにして公開してくれていますが(リンク集等で探してみて下さい。)、こうした個人の方の努力を期待するというのも限界があるでしょう。
ぜひ、法務省には法令データベースを早期に立ち上げて欲しいと思います。
3 最高裁のホームページ
最高裁のページも、あるのかどうか私は知りません。
最高裁も、判決を書いたり、各種司法統計を作成したりするのにパソコンを使っているはずですから、やはりこれを公開してもらいたい。私も、最高裁がホームページを立ち上げてくれれば、最高裁判例の紹介ページはやめたいと思っています。
4 学術論文等
論文も、全てがデジタルデータ化してあれば、コピーの山を前にして途方に暮れるということがなくなるかも知れないだけに有り難いものです。
ただ、この場合は個人がホームページを立ち上げるか、雑誌社が(無料で)論文をホームページに掲載するかということになるので、多くを期待することは現状では無理でしょう。
そうではありますが、リンク集等で探してもらえば見つかると思いますが、大学の(おそらく)若手の研究者の方々の中には、自分の研究結果や講義内容をホームページとして公開してくれている方々もいます。非常に有り難いことであり、そのような方々が今後増えることを期待したいと思います。
三 まとめ
日本の法律関係のサイトは、英語の法律関係サイトと見較べると非常に見劣りがするのはおそらく間違いないでしょう。そして、その差を埋めるには、ひとつには法務省や最高裁といった公的機関がその情報を公開することが肝要であると思います。いうまでもなく、彼らは税金と国民の信託によってその情報を保有しているのですから、これを公開する義務(法的な意味ではないにせよ。)があるはずです。また、日本の法律関係者が自らホームページを立ち上げていくという作業が不可欠だと思います。インターネットで公開するだけの何らかの価値を有する情報を持っている法律関係者(実務家、学者、学生等)が、その情報を広く公開してくれることを期待したいと思います。
四 追補
法務省のホームページがありました。
ゴマのリンク集で見てみて下さい。
(岸本さん、情報をありがとうございました。)