法律実務家のみなさんは、ワープロにはおそらく「一太郎」をお使いのことと思う(「オアシス」かもしれないが、おそらく「ワード」ではないと思う。私は、長く「松」を使った後、「メッツ・プラズマ」を使っていたことがあるが、現在ではそのような人はほとんどいないと思う。アンケートを採ったわけではないが、一応「一太郎」を使っていることを前提に話を進めたい。)。
一太郎には実に色々な機能が付いており、なかには法律実務家にとって便利なものもある。しかし、何せ機能が多いし、解説書も分厚いので(ナツメ社の「ハンドブック」は索引を除いても507ページもある。)、使い切れないことも多い。私自身、「メッツ・プラズマ」の後1年ほど一太郎を使っているのであるが、それでも最近まで一太郎のアウトライン機能=「ランク」というものを知らなかった。しかし、使ってみると、長文の文書を作る際に非常に便利な機能である。これをご紹介したい。
二 どういうときにアウトライン機能が使いたくなるか。
論文を書くとき、それが長文になることがあるだろう。そうでなくても、準備書面・判決・冒陳等、法律実務家であれば長文を嫌でも書かなければならないときがあるはずである(4・5ページの文章しか書かなくてもやっていける、という人は幸である。)。ここで長文とは、例えば10ページ程度より多い分量で、「第一」「一」「1」「(一)」「(1)」等と項目を細かく分けていって、今書いている項目にどの番号を付ければいいのか一見しては分からなくなってしまっているような文章をいう。
このような場合、文章を冒頭から順次書いていくのではなく、最初は文章の骨格を決めて(つまり、項目だけ先に決めて)、思いついたところから適宜本文を書いていくというやり方の方が書きやすいことがある。また、ある程度以上の長文になると、自分が書いている部分を他の部分に移したいとか、他の部分を参考にして文章を書きたいとか考えたとき、その移したいと思う部分を捜すのも大変である。また、後から項目を追加しようと思っても、そもそも「(2)」だったか「(二)」だったかということが分からなくなってしまって、イライラさせられた経験が絶対にあるはずである。
対策としては、「アイデア・ツリー」等のアウトライン・ソフトを使い、作成したテキストデータを一太郎で読み込む、という使い方もある。というよりは、そのような使い方こそ正道であろう。しかし、最初から一太郎で文書を作らなければならない場合は、この方法は使えない。
また、私は一太郎を使うとき、大項目に「★★」、小項目に「★」を入れて、必要な場合検索機能で★にジャンプするようにしていた。これも悪くはなかったのであるが、ランク機能を使うことでよりスマートに(より簡単に)長文が作れるのである。
三 では、ランク機能を使ってみよう。
1 項目立ての仕方は人によって違うであろうが、「第一」「一」「1」「(一)」「(1)」というようにしているものと仮定してみる。
2 まず、「第一」「第二」・・・のところにカーソルをおいて、CTRL+INSERTを押す。すると、その行の一番左に「1」という青い文字が出るはずである。これで、「第一」「第二」・・・等がランク「1」となった(青い文字は印刷すると出てこないので、安心して欲しい。)。次に、「一」「二」・・・にカーソルをおいて、CTRL+INSERT2回を押して欲しい。行の一番左が「2」となったはずである。「1」「2」・・・等は、CTRL+INSERT3回を押して、ランク「3」とする。なお、「2」とすべきところ「3」となってしまった場合は、CTRL+DELを1回押すと「2」になるはずである。このように、見出しとなるべき行でCTRL+INSERT、CTRL+DELを押すことにより、ランクを適宜設定するのである。
なお、ランクを設定した後その行で改行すると、改行された次の行も同じランクになる。それでいい場合はそれでいいのだが、ランクは見出しを拾うためのものなので、本文についてはランクを下げるか、ランクを設定しないようにした方がいい(例えばランク「3」の行では、CTRL+DEL3回で左側の青い数字が消えるはずである。)。
3 これで準備ができた。では、「第一」・・・「一」・・・「1」・・・まで3つのランクを設定した文章を前提として、話を進めたい(どこまで小さなランクを設定するかは各自使ってみた上で判断して欲しい。設定するときの手間と、後で見出しを拾うときの便宜の問題である。私は普通「1」までにしており、「(一)」等は本文扱いにしている。)。
次に、CTRL+Aを押して欲しい。すると、ランク「3」を設定した行までだけが表示されて、それ以外の本文は表示されなくなったはずである。もう一度CTRL+Aでランク「2」までの表示となる。逆に、ランク「2」の表示の時にランク「3」までを表示したいときはSHIFT+CTRL+Aを押せばよい(一般に、SHIFTを押しながら一定のキー操作をすると、本来のキー操作の反対の働きをすることは覚えておいて損はないところである。例えば、漢字変換中に「変換」キーを押して次の候補を表示させてしまってから、前の候補の中に捜している漢字が入っていることに気付いたとする。この場合は、SHIFTを押しながら「変換」キーを押すと、前の候補の表示に戻ってくれる。私は長らくこのことを知らずに「変換」キーを何回か押してもう一度その候補を捜したものであるが、みなさんには常識だったかも知れない・・・。)。
このように表示を一定のランク以上に絞っている状態でも普通の文章のようにカーソル移動は勿論、削除・コピー等の編集機能が使えるので、そこで適宜の編集をして、ランクを落として本文を書き、またランクを上げて編集したり構想を練ったりする、ということができるのである。
四 最後に
こんなの当たり前じゃないか、と思いながら最後まで読み進められた方には申し訳ないと一応お詫びをいおう。
そうではなく、この一太郎のアウトライン機能を知らなかった方は、ぜひ一度試してもらいたいと思う。絶対に便利な機能である。